相続人が相続放棄したら誰が相続人になる?~相続放棄した場合の影響とは~
相続放棄には3ヵ月ルールがある
相続が発生すると、誰が相続人であるかを確定させることから始めていきますが、それに併せて被相続人の遺産がマイナスの財産が多い場合には相続放棄という選択肢も考えていかなければいけません。
通常相続が発生しても相続登記等は期限がありませんので、相続人間でどのように分割するかゆっくり検討する時間があります。
私共の事務所にご相談に来られるお客様の中には、相続発生から何年も経ってから相続登記のご相談を依頼される方もいるぐらいです。
※相続税申告には期限がありますので、お気をつけください。
しかし相続放棄したい場合は話が変わってきます。
なぜなら相続放棄は自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヵ月以内に家庭裁判所に申述する必要があるからです。
つまり相続放棄の検討が必要な場合は、早急に結論を出し必要な手続きを進めていかなければいけません。
さて、この相続放棄ですが、第一順位の相続人がすべて相続放棄した場合、その後は誰が相続人になるのでしょうか?
疎遠になっている親戚等の相続人に知らないうちになっているなんてこともありえますので、相続人が相続放棄した場合の影響について考えていきましょう。
こちらもご覧ください→違いわかりますか?単純承認、限定承認、相続放棄の違いって何?
第一順位の相続人が相続放棄したらどうなる?
相続人が相続放棄した場合の影響を考える前に、まずは誰が相続人になるのか基本ルールをおさらいしていきます。
基本ルールはこちらをご覧ください→相続人になるのは誰?~相続が発生した場合にまず確定させたいこと~
この場合は誰が相続人になる?具体的事例を考えてみよう~登記の基本その⑥~
基本ルールをおさえたら、早速相続放棄がどのような影響を与えるのか考えていきましょう。
ケース1:被相続人の配偶者が相続放棄した場合
・被相続人には妻と子供がいる
・妻が相続放棄した
ポイント:
・妻は相続放棄したので、最初から相続人でなかったものとみなされる
・子供がすべて相続することになる
ケース2:被相続人の子供も相続放棄した場合
・被相続人には妻と子供がいるが、相続放棄した
・子供には息子(被相続人の孫)がいる
・被相続人の両親は健在
ポイント:
・妻と子供は相続放棄したので、最初から相続人でなかったものとみなされる
・相続放棄の場合、代襲相続はしないため孫は相続人にならない
・第二順位の父母が相続人になる
ケース3:被相続人の両親も相続放棄した場合
・被相続人には妻と子供がいるが、相続放棄した
・両親は健在だが、父母ともに相続放棄した
・祖父母は全員死亡している
ポイント:
・妻と子供、両親は相続放棄したので、最初から相続人でなかったものとみなされる
・第三順位の兄弟姉妹が相続人になる
ケース4:被相続人の兄弟姉妹も相続放棄した場合
・被相続人には妻と子供がいるが、相続放棄した
・両親は健在だが、父母ともに相続放棄した
・祖父母は全員死亡している
・被相続人には兄がいるが、相続放棄した
・兄には息子(被相続人の甥)がいる
ポイント:
・妻と子供、両親、兄は相続放棄したので、最初から相続人でなかったものとみなされる
・相続放棄の場合、代襲相続しないため甥は相続人にならない
相続人がいなくなったらどうなる?
いくつか事例を挙げていきましたが、数次相続や代襲相続が発生した場合は相続人も異なってきます。
その場合はさらに複雑になっていきますので、誰が相続人であるのか慎重に確認していく必要があります。
冒頭でもお話したように、相続放棄の場合は、3ヵ月という期限がありますので、お早めに専門家へ相談することをおすすめします。
また、相続人が相続放棄していくと、最終的に相続人がいなくなる可能性があります。
その場合は、必要な手続きを踏んだ上で、特別縁故者への財産分与、国庫へ帰属する等になります。
こちらもご覧ください→その遺産は誰のものになるの?~相続人が誰もいない場合の手続き~