自筆証書遺言と公正証書遺言って結局何が違うの?~遺言の基本②~
特別な事情がなければ普通方式
遺言の基本について、前回、遺言は誰でも書けるのかというテーマでお話しました。
2回目となる今回は、遺言の種類についてです。
遺言には普通方式と特別方式があります。
また、普通方式には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があり、特別方式には死亡危急者遺言、船舶遭難者遺言、伝染病隔離者遺言、在船者遺言があります。
特別方式とは簡単に言えば、死の危険が迫った場合等普通方式での遺言が困難な場合に使うことのできる特別な遺言です。
今回のコラムでは、ご相談の多い普通方式の内、自筆証書遺言と公正証書遺言について取り上げたいと思います。
遺言の基本前回のコラムもご覧ください→意外と知られていない!?遺言書って誰でも書けるの?~遺言の基本①~
自筆証書遺言は自書が必須
自筆証書遺言とは、遺言者が遺言の全文、日付及び氏名を自書し、これに押印することによって作成することのできる遺言です。
遺言者が自書しなければいけない決まりなので、配偶者や子供等に代筆をお願いすることはできません。
ただし、自筆証書遺言に一体のものとして各用紙(両面の場合は両面に)に署名捺印した財産目録についてはパソコン等で作成することが認められていますので、その部分については必ず自書である必要はありません。
また、作成した遺言は自己で保管することが基本ですが、令和2年7月10日より法務局での保管制度が導入されていますので、併せて活用するのも良いのではないでしょうか。
こちらもご覧ください→民法改正により保管制度施行されました!~自筆証書遺言書保管制度の豆知識~
公正証書遺言は公証人に作成してもらう
公正証書遺言とは、2人以上の証人の立会の下、遺言者が公証人の面前で遺言の内容を口授し、その聴取した内容を元に公証人が作成する遺言のことです。
証人になれる人には決まりがあり、未成年者や遺言に利害関係がある人は証人になれません。
遺言の利害関係人とは、例えば遺言者の相続人になるであろう人やその配偶者、受遺者等です。
ご自身で証人をご準備できない場合は、公証役場に用意を頼むことが可能です。
また、遺言者が公証役場に出向くことが多いですが、外出が難しい方には出張費はかかりますが、公証人が出張してくれる場合もあります。
遺言書作成を思い立ったらまずは相談を
遺言書を作成しようと思い立った時、自筆証書遺言か公正証書遺言かどちらで作成するか迷われる方は多いです。
どちらの場合でもメリットデメリットはありますが、自筆証書遺言で作成される場合は、特に注意が必要です。
自筆証書遺言の場合、その要式や内容に不備があってもご自身では気が付かず、遺言が無効となってしまうケースがあるからです。
そういった注意点も踏まえて、遺言書作成をご検討中の方は一度専門家にご相談されることをおすすめします。